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オロマップ 森林保護官 樋口孝也/吉村龍一

定価¥1,500円(税別)

オロマップ

森林保護官 樋口孝也

吉村龍一

オロマップ:北海道日高山脈の南麓に吹く強風のこと。
北海道森林事務局日高支所に勤務する二人の森林保護官。元自衛官で愛想はないが頼れる男・山崎とその部下・樋口孝也。二人は森林事務所に日々持ち込まれる事件と対峙する。林道計画の撤回を求め運動を続ける孤独な男、頻発するエゾシカと車の接触事故、サラブレットの怪死事件……。
大自然のほとりに生きる人びとの姿を活写する、ネイチャー・アクション小説の誕生。

あらすじ

北海道庁森林事務所日高支所に勤務する二人の森林保護官。愛想はないが頼れる上司・山崎とその部下・樋口孝也。前作『光る牙』で羆との死闘を繰り広げた二人が、森林事務所に日々持ち込まれる事件と対峙するミステリータッチの連作短編集。

●ニホンザリガニの保護に執念を燃やす自然団体の男。その裏側には暗い炎が燃えていた。(「砕けた爪」)
●頻発するエゾシカと車の接触事故。心優しきラーメン屋の主人の抱えたトラブルとは。(「溢れる森」)
●牧場で相次ぐサラブレットの怪死事件。羆の食害が疑われるが孝也は納得できなかった(「裂傷」)
●不伐の森の林道計画の撤回を求め、抵抗運動を続ける男。山に生きる者を待つ運命は。(「土葬」)
●山崎の娘・さゆみが連絡を絶った。わずかな痕跡から孝也はオオワシの飛来地へと向かう。(「オロマップ」)
●90cm超えのニジマスが棲む秘密のポイント。孝也少年とヌシの闘いの結末は!?(「波打つ背」)

 北海道には四年間住んだ。陸上自衛隊の施設科隊員として、訓練に明け暮れる毎日を過ごした。マイナス二十度を超える原野での雪中行軍や実弾射撃など、大自然の中で己の肉体のみを頼りにして訓練に明け暮れていた。
 一作目〈砕けた爪〉は、とあるダムに渡河ボートを浮かべ、手の豆が潰れるほど櫓を漕がされたときの風景が着想のきっかけだ。それは災害時の住民救助訓練だったが、当時二十歳そこそこの私はそのダムの透明度に度肝を抜かれていた。畏れさえ感じていた。
 そして最終篇の〈波打つ背〉は、山岳潜入訓練の風景がもとになっている。地図とコンパスだけを頼りに潜入した、奥深い山脈の渓流からストーリーを描き出した。人間を阻む原生林の奥地、その渓谷は満々と水を湛え、遡上した鱒で水面が真っ黒になっていた。
 三十年ちかくまえの原風景だが、不思議なことにそれらはすこしも色褪せることなく瞳に焼きついている。

著者・吉村龍一

編集者より

 アイヌ語で“北海道の日高地方の南麓に吹く強風”を意味する“オロマップ”。
 聞き慣れない言葉だが、土地に根ざし、その風土を見事な描写力で浮かび上がらせる筆致。そして物語に込められた思い。どれをとっても、オロマップ以外のタイトルしかないとあらためて思います。
 子供の頃に『大草原の小さな家』というドラマを観て、その生き方に憧れました。本作は、日高の小さな森林事務所を舞台に起こるミステリータッチの物語。サラブレッドの怪死事件、エゾシカと車の衝突事故、60㎝超えのニジマスとの対決。激しい格闘も、雄大な自然とともに描かれる人情、北海道の駐屯地でで四年間を過ごした著者だから描くことのできた、圧倒的ネイチャー・アクション小説の誕生です。

著者

吉村龍一(よしむら・りゅういち)

1967年、山形県南陽市出身。高校卒業後自衛隊に入隊し、陸上自衛隊施設科員として勤務。除隊後、近畿大学豊岡短期大学卒業。
2011年、「焔火」にて、第6回小説現代長編新人賞を受賞してデビュー。単行本として刊行された。2013年、第2作目『光る牙』を刊行、同作は第16回大藪春彦賞候補作となる。そのほかの著書に『旅のおわりは』(集英社文庫)がある。

吉村龍一の好評既刊

    なし