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トップ > 単行本紹介 > 茅原家の兄妹

茅原家の兄妹

定価¥1,600円(税別)

茅原家の兄妹(かやはらけのきょうだい)

藤谷治

驚愕のラストまで一気読み必至!
この“語り”の迷宮から逃れることはできない。

織田作之助賞受賞で初戴冠の著者による、
奇妙極まる怪異譚にして恋愛譚。

スペシャルページ 「茅原家の兄妹」誕生秘話

あらすじ

「大学を卒業して13年後、交流が途絶えていた友人・茅原恭仁からの招待を受けた私は、山間の別荘地にある彼の自宅を訪ねる。恭仁はその洋館で夜な夜な何かの研究に没頭しており、彼とともに暮らしている妹の睦美は、別人のようにかつての快活さを失っていた。恭仁の研究とは何についてのものなのか。そして、この招待の目的は何か」
謎めいた「新潟市一家溶解事件」の重要参考人であり、現在は消息不明の作家・山ノ葉静蘭から、公表を依頼する手紙とともに突然送り付けられてきた手記は、上記のようなものだった──。

著者の言葉


 藤谷治です。
このたび講談社より、新作『茅原家の兄妹』を出して頂けることになりました。
これはホラー小説です。小説家になって十年以上になりますが、ホラー小説はこれが初めてです。
僕はそもそも怖いものは非常に嫌いで、毎日びくびくしながら生きています。ホラー小説も、惨殺とか痛い目にあうようなものは苦手なので、そういう方面の知識はまるでありません。
しかし西洋の古典的なホラー小説の中には愛読している作品も多く、『吸血鬼ドラキュラ』や『フランケンシュタイン』、『カーミラ』など、二読、三読したものもあります。
『茅原家の兄妹』では、そういう古いホラー小説の雰囲気を、思いきり文章で表現したいと思って書きました。
 一体、本当に怖いものとは何だろう、と考えると、それは結局「普通の人間」ということになりはしないでしょうか。
 顔にウロコが生えていたり、チェーンソーを持った人が現れたら、逃げればいいだけの話です。
 しかし日々の生活の中で、職場や学校で顔を合わせている人たちは、そういう判りやすい表面を持たないかわりに、実は家の中で、あるいは一人になった時に、何をし、何を考えているのか全然判らない。一人の人間の中には、他人には見せない顔や、人に言わない事情がある。
 一番恐ろしいのは、そういう、当たり前の人間が持っている謎、秘密ではないでしょうか。
 この小説の舞台はデコラティブで古臭いものですが、その底にあるテーマは、そういう「結局は判らない、人間の謎」です。
 存分にお楽しみください。そして読み終えたら、あなたが友人と思っている人、よく知っていると信じている人の姿を、改めてよくご覧になってください。

編集者より

 純文学と大衆文学の垣根を越えて「面白い小説」を追求し続けている作家・藤谷治さんによる、弊社から初めての単行本が本書です。数年前にこの仕事をお願いしたとき、私からの注文は「エンターテインメント」の一言でした。
 藤谷さんからは、「自分なりのホラー小説を書く」と言っていただきましたが、その仕上がりは私の想像のはるか外にある、まったく一筋縄ではいかない物語となって返ってきました。
 この作品は、通常言われているホラー小説とは趣を異にしており、ラストですべてが反転するミステリーでもあり、怪異譚でもあると同時に一風変わった恋愛譚でもあります。
 まずはジャンルにとらわれず、平かな心で読み進めてください。必ず、誰かと本作について話をしたいと思っていただけるはずです。

著者

藤谷治(ふじたに・おさむ)

1963年東京都生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業。2003年、『アンダンテ・モッツァレラ・チーズ』でデビュー。'08年、『いつか棺桶はやってくる』で三島由紀夫賞候補。’10年、『船に乗れ!』三部作で本屋大賞第7位。’14年、『世界でいちばん美しい』で第31回織田作之助賞受賞。他の著書に、『遠い響き』『現代罪悪集』『全員少年探偵団』、エッセイ集『こうして書いていく』など多数がある。

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