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リバース/湊かなえ

定価¥1400(税別)

リバース

湊かなえ

恋人に送りつけられた、告発文。
そこには「深瀬和久は人殺しだ」とたった一行書かれていた。

誰が、何のために――。
心の奥底に葬り去っていた”あのこと”を告白するときがきたのか――。

あらすじ

深瀬和久は平凡を絵に描いたようなサラリーマン。趣味らしいことといえば、コーヒーを飲むことだった。その縁で、越智美穂子という彼女もでき、ようやく自分の人生にも彩りが添えられる――と思った矢先、謎の告発文が彼女に送りつけられた。そこにはたった一行、『深瀬和久は人殺しだ』と書かれていた。

深瀬を問い詰める美穂子。深瀬は懊悩する。ついに"あのこと"を話すときがきてしまったのか、と。

著者より(BOOK俱楽部配信メッセージ)

 小説推理新人賞というミステリ作品を対象とした賞でデビューしたにもかかわらず、近年はミステリから少し離れたところに位置する作品を書いてきました。ジャンルに対するこだわりはあまり強くなく、また、書きたいテーマを書かせていただけるという恵まれた環境にいたからだと思います。
 しかし、私には常に書きたいテーマがあるわけではありません。ネタ帳などもいっさい持たず、大概の場合、そろそろ新作について考えなきゃならないけど、いったい何を書けばいいんだろう……、と頭を抱えてしまいます。そんな時、編集者の方にワードを投げてもらいます。「手紙」に興味はありませんか?「島」を舞台にしてみませんか? 投げてもらったワードという名の石が頭の中の池で大きな波紋となって広がると、よし、これを書いてみよと、波紋が物語の形へと変化していきます。
この度の新刊『リバース』の場合、この石に相当するのは、本文中のある一文でした。ずばり、○○○○ミステリ。ネタバレになるので伏せていますが、これまでに書いたことはなく、また、あまり読んだことのないテーマです。代表的な超有名作はあるけれど、違うアプローチの仕方があるのではないか。書けるかな? 書けたらおもしろいな。そんなふうに池いっぱいに波紋が広がり、ワクワクしてきたのだけど、じゃあ、どうすりゃいいんだ? となかなか物語の形を成してくれません。当たり前です。ミステリを読んでいて、おおっ、と叫びたくなってしまうあの瞬間を自分で考えなければならないのだから。そのため、執筆を開始するまでに、これまでの作品の時とは違う脳の部位をたくさん使ったような気がします。
 騙すほうより、騙されりゃいい。シャ乱Qの「いいわけ」の歌詞が頭の中をぐるぐると駆け巡りました。ミステリは書くよりも、読む方がおもしろい。……いやいやそんなことはありません。おそらく根が意地悪気質なのでしょう。どうやって騙そうかと、最初は頭を悩ませていても、時折、ニヤニヤしながら書いていたはずです。どうか、一人でも多くの人を驚かせることができますように。書き終えた今は、そう祈るのみです。
 ネタバレ以外で、今作品の大きな特徴となるのは、主人公が男性ということでしょうか。私の作品は女性の一人称というイメージを強く持たれていると思うのですが、サイン会などで読者の方から、次は男性視点で、とリクエストされることがよくあります。加えて、日ごろ自分が抱いている、実は男性の方が陰湿な思いを抱え込んでいるのでは? という疑問に向かい合うには、この作品がベストではないかと思ったからです。
 男の友情って美しいのか? 男同士で旅行する時ってどんな会話をするんだろう? 流行りのスイーツは食べるのか? などと思いを巡らせるだけでも、とても楽しかった。男性読者に、あるある、と思っていただけるとこちらの勝ちです。誰と勝負しているんだ?
 最後に、私はコーヒーが大好きです。昔からではなく、自宅の近所にコーヒー豆の専門店ができたのと同時期に、スーパーの福引でエスプレッソマシンが当たったことから、徐々に目覚めていきました。執筆中は一時間おきに飲んでいて、もはや私にとってはガソリンのようなものです。いつかコーヒー好きの主人公を書いてみたいと願っていました。それを今作品に用いたのは、やはり主人公が男性だからではないかと思います。

編集者より

 湊さんが、ミステリーと真っ正面から向き合って書かれた『リバース』。湊さんのことばにもありますように、あるお題がきっかけで始まりました。ネタバレになってしまいますので、ここではいえませんが、本当に鮮やかにこのお題をクリアしてくださいました。クリアするだけでなく、さらに高いところまでこの作品は到達しています。
 ミステリーとしても絶品ですが、主人公の男性たちの心の機微も読みどころのひとつです。
「あぁ、分かる、分かる」
「痛いところ突かれちゃった……」
など、皆さんかならずどこか思い当たるところがあるのではないかと思います。

 一気読み必至。
 そしてネタバレ厳禁。
 湊かなえさん最新長編ミステリー、ついに登場です!

著者

湊かなえ(みなと・かなえ)

1973年広島県生まれ。2007年第29回小説推理新人賞を「聖職者」で受賞。08年受賞作が収録された『告白』を刊行。同作で08年週刊文春ミステリーベスト10第1位、09年第6回本屋大賞を受賞する。12年「望郷、海の星」で第65回日本推理作家協会章短編部門を受章。
そのほかの著書に『少女』『贖罪』『Nのために』『夜行観覧車』『白ゆき姫殺人事件』『母性』『望郷』『高校入試』『豆の上で眠る』『山女日記』『物語の終わり』『絶唱』などがある。

湊かなえの好評既刊