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トップ > 単行本紹介 > ヨイ豊

ヨイ豊/梶よう子

定価¥1,800円(税別)

ヨイ豊

梶よう子

絵師たちのひたむきな姿に、きっと涙する。
なぜ浮世絵はなくなってしまったのか。時代に抗った歌川派の二代国貞と弟弟子・国周の頑なな姿とは──幕末から明治初頭にかけての、浮世絵の終焉と世相をみごとに描いた、感動の長編歴史小説!

あらすじ

黒船来航から12年、江戸亀(かめ)戸(いど)村で三代豊国の法要が営まれる。広重、国芳と並んで「歌川の三(さん)羽(ば)烏(がらす)」と呼ばれた大看板が亡くなったいま、歌川を誰が率いるのか。娘婿ながら慎重派の清(せい)太(た)郎(ろう)と、粗野だが才能あふれる八十(やそ)八(はち)。一回り歳が違う兄弟弟子の二人は、尊王攘夷の波が押し寄せる不穏な江戸で、一門を、浮世絵を守り抜こうとする。

編集者より

帯の裏面で、「七度涙した」と告白したのはわたくしです。原稿を読んでそう簡単に泣くものじゃありませんが、本作ではグッときてしまいました。終盤で清太郎が筆を持つシーンと、版元に冷たくされるところ、あと、終章で雅之助が浮世絵を振り返るあたりが、読んでいて涙腺を刺激するはずです。ネタバレ回避のため、これ以上は書けません。さて、印象派に影響を与えたと言われる浮世絵が、なぜ本家の日本ではなくなってしまったのか、というテーマを以て書き進められたのが作品ですが、幕末から明治初頭の世相を知ることができる点も見逃せません。江戸時代は近世で、明治は近代。たかだか150年くらい前のことなのに、そんなふうにはっきりと区分けしてしてしまう先入観。本作を読むと、その認識の誤りに気づかされます。明治になっても、江戸の文化や風俗はまだまだ生きていたんだろうなと思わせる描写が、作品の底流にあるからです。熱く語ってしまいましたが、主人公の絵師たちにはもっと熱いものがあります。最後にタイトルについて。まず「わかりにくい」という意見が多数でした。実際、そう思っていらっしゃる方も多いと思います。ですがこれには深い意味があって、著者が原稿を書き初めるころから決まっていたようなものでした。先日ある記者さんから、「タイトルが内容と結びついたとき、感動しました」という感想をいただき、タイトルを変えなくてよかったと感慨にふけったものです。

著者

梶よう子(かじ・ようこ)

東京都生まれ。フリーランスライターのかたわら小説執筆を開始し、'05年「い草の花」で九州さが大衆文学賞大賞を受賞。'08年「一朝の夢」で松本清張賞を受賞し、同作で単行本デビューを果たす。以後、時代小説の旗手として多くの読者の支持を獲得する。近著に『連鶴』『夢の花、咲く』『桃のひこばえ 御薬園同心 水上草介』『ことり屋おけい探鳥双紙』『ご破算で願いましては みとや・お瑛仕入帖』『立身いたしたく候』などがある。

梶よう子の好評既刊