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江戸川乱歩賞

第65回 江戸川乱歩賞

神護かずみ

「ノワールをまとう女」
(「NOIRを纏う彼女」改題)

受賞者の言葉

 昨年、己の人生で初めての、ちっぽけな決断をし、長いあいだお世話になった会社を去りました。いい仲間に恵まれた、いい会社でした。去りがたい思いは強くあったものの、仲間たちに、このようなことを言ったことを覚えております。
「五十歳を過ぎる頃、己の人生という一本の道の先に、ぽつんと立つものが見えてきました。お墓です。ほかならぬ自分のお墓です。いつ、その墓に触れるかまでは分からずとも、自分はあそこに行くのだということが、実感として観えてきました。同時に、この人生のなかで、自分は何者であったのか、という問いが芽生えました。
 人間誰しも、なりたかった自分、夢というものがあります。しかし、現実の暮らしのなかで、生きていくため妥協し、諦めざるを得ないものは多く、わたしも、いくつかの夢を手放してきました。でも、人生の最後に、どうしても取りに行きたい夢がひとつだけあります」それが、昨年六月のことです。
 のち、夢に向かい、己のすべてを絞り出したものが、今回選んでいただいた作品です。お陰様で、夢に一歩、近づくことができたかな、と思っております。審査員の先生方、株式会社講談社の皆様方に御礼申し上げます。そして、六十歳近くにもなって夢を追いたいという決断を許してくれた家族と両親、今回の受賞を我がことのように歓んでくれた親類、友人たちに感謝申し上げます。

神護かずみ

 昨年、己の人生で初めての、ちっぽけな決断をし、長いあいだお世話になった会社を去りました。いい仲間に恵まれた、いい会社でした。去りがたい思いは強くあったものの、仲間たちに、このようなことを言ったことを覚えております。
 「五十歳を過ぎる頃、己の人生という一本の道の先に、ぽつんと立つものが見えてきました。お墓です。ほかならぬ自分のお墓です。いつ、その墓に触れるかまでは分からずとも、自分はあそこに行くのだということが、実感として観えてきました。同時に、この人生のなかで、自分は何者であったのか、という問いが芽生えました。
 人間誰しも、なりたかった自分、夢というものがあります。しかし、現実の暮らしのなかで、生きていくため妥協し、諦めざるを得ないものは多く、わたしも、いくつかの夢を手放してきました。でも、人生の最後に、どうしても取りに行きたい夢がひとつだけあります。」それが、昨年六月のことです。
 のち、夢に向かい、己のすべてを絞り出したものが、今回選んでいただいた作品です。お陰様で、夢に一歩、近づくことができたかな、と思っております。審査員の先生方、株式会社講談社の皆様方に御礼申し上げます。そして、六十歳近くにもなって夢を追いたいという決断を許してくれた家族と両親、今回の受賞を我がことのように歓んでくれた親類、友人たちに感謝申し上げます。

神護かずみ

概要

「ノワールをまとう女」
(「NOIRを纏う彼女」改題)

 日本有数の医薬消費財メーカー美国堂は、傘下に入れた韓国企業の社長による過去の反日発言の映像がネットに流れ、「美国堂を糺す会」が発足して糾弾される事態に。
 かつて美国堂がトラブルに巻き込まれた際に事態を収束させた西澤奈美は、コーポレートコミュニケーション部次長の市川から相談を持ちかけられる。新社長の意向を受け、総会屋から転身して企業の危機管理、トラブル処理を請け負っている奈美のボスの原田哲を排除しようとしていたものの、デモの鎮静化のためにやむを得ず原田に仕事を依頼する。
 早速、林田佳子という偽名で糺す会に潜り込んだ奈美は〝エルチェ〟というハンドルネームのリーダーに近づくと、ナミという名前の同志を紹介される。彼女は児童養護施設でともに育ち、二年前に再会して恋人となった姫野雪江だった。雪江の思いがけない登場に動揺しつつも取り繕った奈美は、ナンバー2の男の不正を暴いて、会の勢いをくじく。
 そんななか、馴染みの韓国料理屋アサコ苑の女主人、在日二世の新井朝子が投身自殺した理由を調べていた常連の黄慶汰から連絡が入る。自殺する前日、入院していた病院の屋上で彼女の息子らしい男と口論していたようだと知らされる。久しぶりに再会した母と子はなぜ口論していたのか?
 エルチェは美国堂を攻撃する起死回生の材料をナミから手に入れたというが、ナミ(=雪江)は奈美と約束した日に現れなかった。やがて雪江が亡くなったというニュースがネットに流れる。そして、雪江の死を独り悼む奈美の許に、彼女からメールが届く……。

「ノワールをまとう女」
(「NOIRを纏う彼女」改題)

 日本有数の医薬消費財メーカー美国堂は、傘下に入れた韓国企業の社長による過去の反日発言の映像がネットに流れ、「美国堂を糺す会」が発足して糾弾される事態に。
 かつて美国堂がトラブルに巻き込まれた際に事態を収束させた西澤奈美は、コーポレートコミュニケーション部次長の市川から相談を持ちかけられる。新社長の意向を受け、総会屋から転身して企業の危機管理、トラブル処理を請け負っている奈美のボスの原田哲を排除しようとしていたものの、デモの鎮静化のためにやむを得ず原田に仕事を依頼する。
 早速、林田佳子という偽名で糺す会に潜り込んだ奈美は〝エルチェ〟というハンドルネームのリーダーに近づくと、ナミという名前の同志を紹介される。彼女は児童養護施設でともに育ち、二年前に再会して恋人となった姫野雪江だった。雪江の思いがけない登場に動揺しつつも取り繕った奈美は、ナンバー2の男の不正を暴いて、会の勢いをくじく。
 そんななか、馴染みの韓国料理屋アサコ苑の女主人、在日二世の新井朝子が投身自殺した理由を調べていた常連の黄慶汰から連絡が入る。自殺する前日、入院していた病院の屋上で彼女の息子らしい男と口論していたようだと知らされる。久しぶりに再会した母と子はなぜ口論していたのか?
 エルチェは美国堂を攻撃する起死回生の材料をナミから手に入れたというが、ナミ(=雪江)は奈美と約束した日に現れなかった。やがて雪江が亡くなったというニュースがネットに流れる。そして、雪江の死を独り悼む奈美の許に、彼女からメールが届く……。

選評(五十音順)

新井素子

『NOIRを纏う彼女』
 私は、このお話、好きです。楽しく読みました。炎上しちゃったものの火消し役って設定も面白かったし。ラスト、主人公が〝黒幕〟と対決するシーンなんか、様式美って感じで楽しかった。
 ですが、選考会では総会屋はこんな職種じゃないって御意見もあり、それは本当にそのとおり。この主人公が男だったらステレオタイプだって指摘も、そのとおり。
 この指摘を超える二作目、期待してます。
『シャドウワーク』
 これも、私は好きです。というか……この人、お話書くの、うまいよね? 安心して読める。私は素直に感情移入して読んじゃった。だから、逆に、このラストはないだろうって意見に、私も賛成します。〝持ち回り〟って概念を導入して、登場人物達は、主人公を説得(洗脳?)しているんだけれど、なら余計こういう終わり方はいかがなものかと。
 また。これは、ずっと継続している犯罪の話なのですが(というか、継続しないといけない犯罪なので)……これ……絶対に、露顕すると思います。構造が、無理でしょう。
『日陰蝶』
 ……あの。変な言い方なんですが。この〝盗作疑惑〟、やる意味、あるんですか?
 新海さんが病気で倒れて、意識なくなったのなら、やる意味ない。それをわざわざやるのなら、新海さんに対する、とんでもなく深い〝悪意〟が必要だと思います。でも、それが全然書かれていない。
 あと、欲張りすぎです。〝米兵によるレイプ問題〟〝日米地位協定問題〟〝不在地主問題〟、あまりにも問題がありすぎです。
『消尽屋』
 私は、このお話の作者じゃなくて、登場人物達に、一言、言いたい。
「落ち着け!」
 このお話の登場人物は、みなさん、変。脅迫されたから相手を殺した、って、それは、ちょっと待て! これがひとりなら、〝変なひとが殺しまくっている〟になるんですが……こういうひとが、複数、いるんですよね、このお話。頼むから、登場人物のみなさん、一回、落ち着け。
『歌舞伎町ON THE RUN』
 この作者、応募する賞を間違っています。
 このお話の一番の弱点は、ミステリ部分です。これさえなければ、もっとずっと完成度高かったと思う。
 書きたいことがある人なんだろうし、書ける人なんだろうと思います。だから、ちゃんと、その部分を書いてください。変にミステリにしようとしないで。

京極夏彦

 いま書かれ、いま読まれる小説は、遍く今日的な視座を持たなければならないのだろうと考える。但しそれは時事問題を〝題材として取り上げる〟という意味ではない。表面的に時流を取り入れただけの作品は、いわゆる風俗小説として時勢と共に忘れられていく傾向にあるだろう。一方、それを普遍的なレヴェルまで昇華している作品は、現状ポリティカル・コレクトネス的に問題のある表現や主張が盛り込まれていたとしても延延と読み嗣がれていくことになる。
「消尽屋」は謎解きを主眼に置いた作品という点で好感が持てるが、情報の隠蔽と開示の手順・方法に難がある。謎は複数提示されるが、主観情報と客観情報が同列に扱われており、視点の入れ替えも唐突で、判らないこと/判っていること/判ったことが瞭然と示されない。結果、動機や行動に対する説得性が希薄となり、解決の醍醐味も殺がれてしまった。また、本筋と乖離した児童虐待のモチーフは、必要だったろうか。
「日陰蝶」は過去の事件の真相解明が進行形の事件の解決に繋がるというスタイルを採る。かなりの紙幅を過去の出来ごとに割いており、それ自体は興味深く読めるのだが、現在の事件の扱いは提示される謎や展開も含めかなり粗雑である。沖縄軍用地問題、軍属の犯罪、レイプといった深刻なモチーフと、演劇・盗作というガジェットが噛み合っておらず、全体を象徴するべき蝶というキーワードも機能していないのが残念である。
「シャドウワーク」の小説としての完成度は高いだろう。主題となるドメスティック・バイオレンスの扱い方も周到である。それ以外の部分には瑕疵や誤謬も多多あるが、読書を妨げる程のストレスはない。ただ結末には大いに疑問が残る。小説はどのようなアンモラルな結末も許容すべきと考えるが、アンモラルをアンモラルでなく〝見せかけてしまう〟描き方は看過すべきではない。筆致の巧みさ故のことであっても、である。
「歌舞伎町ON THE RUN」も可読性が高く、キャラクター造形も魅力的である。セックスワーカー達の社会的位置付けという難問を取り上げているが、異った視座をバランスよく配置することで〝簡単には解決しないという解決〟に導くことに成功しており、読みごたえもある。反面、作中で起きる殺人事件の扱いは非常に粗末なものである。むしろ事件パートを排除してしまった方が小説としての結構は保たれたのではないか。
 受賞作「NOIRを纏う彼女」は同性パートナーやAI、排外主義や企業コンプライアンスなど今日的な題材を随所に鏤めているが、それらはすべて物語を彩る素材として採用されたものであり、枠組み自体はエスピオナージに範を取った極めてオーソドックスなものである。欠点はあるものの、古い器に新しい食材を盛る手つきは堂に入っており、一種のピカレスクロマンとして読める仕上がりにはなっているだろう。
 応募作はいずれも現代と切り結ぼうという気概が感じられる作品ばかりであったが、それぞれに長所・短所があり、受賞は僅差での決定となった。

月村了衛

 最終候補作はいずれも題材やテーマの着眼点は悪くないのに、料理の仕方・盛り付け方に難があるという共通の弱点を感じました。
 その中で、私は『シャドウワーク』を推すつもりで選考会に臨みました。安定した読み心地を買ったのですが、小説としての巧さは全委員の認めるところでありながら、いくつかの大きな欠点も指摘されました。それらは他の委員の選評に任せるとして、私が気になった最大の欠点は、警察描写の杜撰さです。現代の警察小説のレベルではこれは通用しません。力のある方とお見受けしますので、第63回乱歩賞での今野敏選考委員の選評をよく読み直し、より優れた作品を物して下さることを期待しております。
 逆に受賞作の『NOIRを纏う彼女』を私は推せませんでした。この作品に最高得点をつけた委員も複数いたことからすると、どうやら人を選ぶ作品のようです。裏社会を舞台とするならば、もっと人間の暗黒面に踏み込む覚悟が必要でしょう。言わば〈暗黒度〉それとリアリティが決定的に足りないのは私には致命的に思えました。
『歌舞伎町ON THE RUN』もアンダーグラウンドの世界を舞台としながら、私にはファンタジーとしか思えませんでした。ここに描かれている歌舞伎町はまるで異世界のようであり、従って人物にもリアリティは感じられません。こういう作品こそリアリティが必要なのです。「リッパー事件」に関連する描写の稀薄さも気になりました。
『日陰蝶』は、人物のロジックがストーリーの都合で進められています。語り方、即ち構成の技術の習得に努めればさらなる向上が望めるでしょう。ただ、盗作の告発があってからわずか二時間で地方の自費出版物を入手しているのは、どう考えてもあり得ません。また演劇における台本執筆のプロセスからしても設定に相当な無理が生じています。
『消尽屋』は梗概を読んで感じた高揚感が、本編からまったく感じられなかったのが残念でした。情報や人物の出し入れの仕方に難があるため、作品をいたずらに読み辛くしています。これもまた構成力の不足によるものです。また誤字脱字や変換ミスの最も多い作品でもありました。作者は己の作品に対し、ぎりぎりまで推敲する執念を示すべきです。
 繰り返しとなりますが、ストーリーや設定をひねくり回すより人物描写を重視することと、「読者に読ませる」という自覚のもとに小説の技術を研鑽することこの二点に留意するだけでも大いに伸長が望めると思いますので、投稿者の皆さんは今回の結果に落胆することなく、日々の創作に励んで下さい。さらに付け加えるならば、明暗を分かつのは〈執念〉の有無です。

貫井徳郎

 今年は候補作に共通する欠点が多かったことが特徴でした。まず、物語の立ち上がりが遅い。上限五百五十枚というのは今やさほど多くない枚数なのですから、早く本題に入らなければなりません。また、謎の設定に工夫がない話も目立ちました。ミステリーにおける謎とは単に不明であるだけでなく、不可解でなければならないのです。殺人事件が起きた、盗作が疑われる、といった謎だけでは、誰かがやったんだろうとしか読者は思わないので、魅力的な謎とは言えません。
 書き上げたものを他人の作品であるかのように読み返す客観性も必要です。それができていない候補作が大半でした。もし客観的に読み返していれば、誤字脱字を減らせることは当然として、文章の読みにくさや、物語の進行が退屈であることにも気づくはずです。自分の書いたものを突き放して読むのは難しいことですが、プロの書き手は皆、それをやっています。客観的に読み返すことができない限り、デビューはできないと思ってください。
 社会問題を不用意に扱っているのも、ひとつの傾向でした。明らかな認識間違い、考察不足が散見され、その問題で悩む人をむしろ傷つけかねない不安がありました。社会問題を扱うなら、充分な取材の上、当事者の気持ちになって徹底的に考え抜かなければなりません。それができないなら、扱うべきではないです。
 そうした諸問題から唯一免れていたのが、受賞作となった『NOIRを纏う彼女』でした。この作品もアクチュアルな社会問題を扱っていますが、ヘイトや炎上を裏工作で沈静化させるという主人公の職業設定がユニークで、着眼点のよさが評価できます。主人公の一人称はハードボイルドタッチで、見方によってはステレオタイプとも受け取れてしまいますけれども、AI相手に会話するという目新しさがその弊を免れているとぼくは感じました。
 物事の裏で進行している悪意を探る、というストーリーラインであるからには、意外性やどんでん返しが欲しいところですが、残念ながらそれは叶えられません。しかし、そこが欠点になっておらず、あまり面白さが損なわれていないのが不思議なところでした。ストーリーに魅力があるからでしょう。意外性はなくても思いがけない飛び道具を持ち出してきて、ミステリーはこうでなくちゃなとニヤニヤしました。
 主人公の気取った語り口、鼻につくルビなど、問題点はあります。これはあまり読者に好かれないでしょう。でもそれを承知の上で貫けば、いつか味になるかもしれません。覚悟を決めて推敲することをお勧めします。なお、タイトルも一考の余地があります。
 全体に低調な中、面白い受賞作を出せたことを嬉しく思います。

湊かなえ

『NOIRを纏う彼女』ほんとう一室ハコ口紅ルージュといったルビや、「~じゃあない」といった言い回しの多用は、独自の世界を構築してはいるものの、古いと感じました。企業の炎上案件を解決する裏稼業という設定は、とてもおもしろく、新しいと感じました。流行りのJ-POPを演歌歌手が歌っているような作品で、万人受けはしないけれど、心地よく嵌る人は一定数いるのではないかと思い、受賞に同意しました。おめでとうございます。
『歌舞伎町ON THE RUN』私がデビューしてまもない頃、「性風俗業の女性=堕落、と思われがちだけど、自分は仕事にプライドを持っているし、仕事以外の時間は普通のOLと何ら変わらない生活を送っています。ぜひ、そういった女性が主人公の作品を書いてください」とリクエストされたことがあります。何度か取り組もうとしたものの、入り口には金銭問題などがあったのではないか、仕方なくその仕事をしている人を傷付けてしまう内容になってしまわないか、などと行き詰まり、棚上げしたままになっていました。しかし、この作品を読み、あの女性はこういう物語を読みたかったのではないか、と思いました。自分が書けなかった作品を、推さないわけにはいきません。Aをつけて選考会にのぞみましたが、賛同者はなし。ミステリとしての弱点は他の選考委員が書いている通りだと思います。江戸川乱歩賞としては、一歩及ばない作品なのかもしれません。LGBTの認識については、作者の認識不足ではなく、登場人物の一人の認識不足として、私は受け取りました。誤った認識を別の登場人物が正す台詞が一つあれば、解決する問題だと思います。歌舞伎町の掘り下げ方についても、歌舞伎町がこの物語のキモではなく、登場人物たちが自分や家族と向き合い、人間として成長していく話のはずなので、歌舞伎町に意味があると思わせるタイトルを変えればよいのではないかと思います。この作品で初めて知った「アセクシャル」についても、もっと多くの人に知ってほしい。人物の描写が浅いと感じる人もいるかもしれないけれど、私は、少なくとも主人公とその友人は人生について精一杯考えていると感じました。この物語が心に響く人はきっとたくさんいるはずです。力及ばず、申し訳ございませんでした。選考会は終わりましたが、この作品を応援する気持ちに変わりはありません。
『日陰蝶』後半に進むにつれ、軍用地の問題が話の中心となり、婦女暴行事件がただの導入扱いになっている点が気になりました。
『シャドウワーク』女性刑事が自らも罪を犯した後も刑事を続けていることに、覚悟のなさを感じ、残念に思いました。
『消尽屋』ライトのエピソードは興味深いものの、家の謎、殺人の動機、登場人物の設定、文章、構成、多くの点に中途半端さを感じました。
 四年間、最終候補に女性の作品が一度も上がらなかったことが残念です。勉強させていただきました。ありがとうございました。

第65回江戸川乱歩賞 1次・2次予選通過作品の発表
第65回江戸川乱歩賞 2次予選通過作品の講評と最終候補作

選考委員

新井素子

京極夏彦

月村了衛

貫井徳郎

湊かなえ

これまでの結果